腕が上がりにくいと感じたら|四十肩・五十肩と肩こりの違い
菊池 健太
2026/8/1

8月は、旅行や帰省で荷物を持ち上げたり、海やプールで普段より大きく腕を動かしたりする機会が増える季節です。
そんなとき、「腕を上げると肩が痛い」「服を着替えにくい」「夜になると肩がズキズキする」と感じていませんか?
年齢から四十肩・五十肩だと思い込まず、肩こりとの違いや、医療機関へ相談したい症状を確認してみましょう。
四十肩と五十肩に違いはある?
四十肩・五十肩は、肩関節の痛みと動かしにくさが現れる状態の一般的な呼び名です。医学的には「肩関節周囲炎」と呼ばれることがあります。
四十肩と五十肩が別の病気というわけではなく、発症する年代に応じて呼び分けられてきたものです。40代・50代という年齢だけで診断できるものでもありません。
代表的な症状には、次のようなものがあります。
腕を上げたり後ろへ回したりすると痛む
洗髪や着替えがしにくい
エプロンのひもを後ろで結びにくい
肩の動かせる範囲が狭くなる
夜中に肩が痛み、目が覚める
日本整形外科学会は、肩関節の痛みや運動制限、夜間痛などを五十肩の主な症状として挙げています。日本整形外科学会「五十肩(肩関節周囲炎)」
肩こりとの違い
肩こりでみられる症状 | 四十肩・五十肩でみられる症状 |
|---|---|
首の付け根から肩・背中の張りや重さ | 肩関節そのものの痛み |
長時間同じ姿勢のときに気になりやすい | 腕を上げる、後ろへ回す動作が難しい |
肩関節の動きは保たれる場合が多い | 肩の動かせる範囲が狭くなることがある |
筋肉のこわばりを感じることが多い | 着替えや洗髪、睡眠に支障が出ることがある |
ただし、肩こりと四十肩・五十肩が重なっている場合もあります。症状だけで正確に判断することはできません。
8月に気をつけたい肩の動作
旅行の荷物を高い場所へ載せる
キャリーケースやバッグを、勢いをつけて頭より高い場所へ持ち上げると、肩へ負担を感じることがあります。
荷物を小分けにする、高い棚への収納は周囲の人に手伝ってもらうなど、無理をしない工夫をしましょう。
水泳やレジャーで急に腕を動かす
普段あまり運動していない方が、海やプールで急に腕を大きく動かすと、肩の痛みに気づくことがあります。
痛みを感じたら、そのまま泳いだり投げる動作を続けたりせず、いったん休みましょう。
冷房の効いた室内で過ごす
冷房が四十肩・五十肩を直接引き起こすとはいえません。冷房を我慢して室温を上げることも、熱中症予防の観点からおすすめできません。
冷風が不快な場合は、風向きや座る位置、薄手の羽織物などで調整しましょう。
痛くても肩を動かしたほうがよい?
肩をまったく動かさない状態が長く続くと、動かしにくさが増す場合があります。一方で、強く痛む時期に無理な運動をすると、症状が悪化する可能性があります。
次のような自己流の運動は避けましょう。
痛みを我慢して腕を上げる
反動をつけて肩を回す
他人に腕を強く引っ張ってもらう
重い器具を使ってトレーニングする
適切な動かし方や運動を始める時期は、肩の状態によって異なります。痛みが強くなる運動は中止し、医療機関へご相談ください。
「五十肩だろう」と決めつけないことが大切
肩の痛みや動かしにくさは、腱板断裂、石灰沈着性腱板炎、上腕二頭筋長頭腱炎などでも起こります。
特に腱板断裂でも、運動時の痛みや夜間痛、腕を上げるときの筋力低下などがみられます。診察や画像検査をしなければ区別できない場合があります。日本整形外科学会「肩腱板断裂」
整形外科へ相談したい症状
次の症状がある場合は、整体やセルフケアだけで様子を見ず、整形外科などの医療機関へご相談ください。
夜間痛で目が覚める、眠れない
痛みや動かしにくさが続く、悪化している
転倒や衝突の後から腕が上がらない
腕を上げる力が急に弱くなった
腕や手にしびれ、感覚低下、脱力がある
肩が赤く腫れ、発熱を伴う
突然の激痛で肩を動かせない
肩や腕の痛みに胸の圧迫感、息苦しさ、冷汗、吐き気などが伴う場合は、救急要請を検討してください。
肩のつらさを我慢しすぎないために
当院では、医療機関で緊急性のある病気が否定された方を対象に、日常生活で困っている動作や身体の使い方についてご相談を承っています。
着替えや洗髪、荷物を持つ動作などで肩が気になる方は、お気軽にご相談ください。
